Buffet!!

DX3rd/insideQ

これまでと、これからと 1

ダブクロ卓「insideQ」の後日談二次創作。
ルリが街を出る直前にみんなと話して回る話。

3月中旬、紫藤市は少しずつ街並みを春色に変えていた。
ルリにとっては7回目の春だ。
生まれてから6年半の間、ちょっとした外出や旅行なんかを除けばずっとこの街で過ごしてきた。
この街が好きだ。この街で出会った人々が好き。思い出の詰まった学校が、みんなと過ごしてきた支部が好き。
自分で決めたこととはいえ、遠く離れた東北の地への旅立ちを二日後に控えて、少しの寂しさに小さなため息をつく。

大体の荷造りをすでに終えた寮の自室で、ベットに腰掛けてスマホの新着通知を見る。
「昨日の写真!アルバム作っといたからみんな上げてね!」
仲の良い友人たちが開いてくれた、ルリの送別会用のLINEにメッセージが届いていた。
すでにアルバムに投稿されてる写真を軽く見てから、ルリも撮った写真をアップする。
「ありがとう!昨日はとっても楽しかったよ!」
そんなメッセージを打ちながら、送別会の様子を思い返す。

「でもルリが遠くに進学するなんて意外だったな。元々は隣町の大学行くって言ってたでしょ?」
そう言ったのは遥。
紫藤市しか知らないから、少し遠くに行ってみたかったんだって言ったら、例のお姉ちゃんとなんかひどめの喧嘩とかしてない?大丈夫?って結構真面目に心配してくれた。
「夏休みとか、お正月とか、こっちに帰ってくるときは絶対連絡して!遊ぼうね!絶対だよ!」
「お土産も忘れないでね〜!あっちの方って何が美味しんだろ?」
梨花が言って矢口ちゃんが重ねる。
お土産かよ!って誰かが突っ込んでみんなであははって笑った。みんなと過ごすこういう時間、好きだな。
「まあ寂しいのは寂しいけど、LINEとかも繋がってるしね」
いつもちょっとクールな静香ちゃんは送別会でもやっぱりクールだったな。
だけど別れ際にこっそり愛してるよ、って伝えてくれたのが嬉しかった。

昨日のことを思い返すと自然と表情がゆるむ。
ニコニコしたままふと時計を見ると、そろそろ尊と約束した時間が近づいていた。
「いけない、いけない。そろそろ出なくちゃ」
ベッドから立ち上がって洗面台に行き、鏡の前で軽く髪を整える。
大学合格が決まってから、なんとなく髪を伸ばし始めてみた。
まだちょっと伸びただけだけど、ずっとショートだったからか結構印象が変わった、らしい。いろんな人からそう言われる。
自分自身でも、前より女の子っぽく見えるようになったかも?と少し思う。
ルリの能力を使えば、髪色も髪質も結構自由に変えられる。
1年とちょっと前、髪色を変えてみようかなって支部のみんなに言った当初はお祭りみたいだった。赤もピンクも黄色も緑も青も紫も、思いつく色は一通り試して、尊が言うからレインボーまでやってみたけど、どの色が一番いいかは結局よくわからなくて。
ゆっくり悩んでそのうち決めるよ、なんて言って今は結局リナと同じ黒のままにしている。
一方髪質の方は、晶といちると一緒にファッション雑誌をめくって見つけた髪型が気に入って、伸ばした髪に少し癖をつけて過ごしている。
「よし。平気そう」
髪型が問題ないことを確認すると、上着を羽織ってスニーカーを履いて、尊の家へと向かった。