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ホワイトクリスマス

プロログロス本編エンディングにて、PCたちが「エージェントになる」もしくは「イリーガルとして協力する」を選んだ場合にあるかもしれない一つの可能性
東護はX市立高校に残り、PCたちとクリスマスを過ごすことになる

東護真白がX市立高校に転入してから一ヶ月と少しが経った。
元々の任務は終えたものの、新人オーヴァードの指導という新しい任務を受けた東護は、変わらずX市立高校に通い続けている。

東護にとって施設の外の日常は新しいことだらけだった。
初めて通う学校という場所ではまだわからないことも多い。力を知らない同級生との付き合い方も、高校生の放課後の過ごし方もよくわかっていない。
オーヴァードの先輩として力の使い方や非日常の世界のことを教えつつ、普通の高校生の日常生活について教えてもらう。たまに小競り合い的な任務はあったかもしれないが、オーヴァードとしては比較的穏やかな日々を過ごしていた。

季節は12月も半ば。吐く息も白くなるような寒さの日。
昼休みになり、購買に昼ごはんを買いに行こうと東護が立ち上がると、隣の席から一緒に行くと声がかかる。
二人で購買に向かいながら話題に上がるのはクリスマスのことだ。

東護はクリスマスを知識の上でしか知らない。
施設ではクリスマスがどういうものかは教えてくれたけど、豪華な夕食とかケーキとかプレゼントとか、そんなものはなかった。
そんな話を聞いた相手は、じゃあ一緒にクリスマスを楽しもうと東護を誘う。
残念なことにクリスマスにも授業はあるから、放課後に一緒に出かけよう。
他の友達も誘って、みんなでプレゼント交換をしても楽しいかもしれない。
暗くなったら駅前のイルミネーションを見に行こう。
楽しそうに案を出す様子を真っ直ぐ見つめながら、東護はいつも通りの表情でわかったわ、とうなずいた。

そうしてクリスマス当日、東護たちは平和で普通のクリスマスを過ごした。
夜になり、イルミネーションの輝きを見つめる東護の隣で、東護の表情を伺う人物が一人。
見つめる視線に気づいた東護が振り返って、「どうしたの?」と尋ねると、クリスマスは楽しかったかと聞く。
「ええと、楽しかったとか、あまりよくわからないけれど」
少し考えて間を空けながら東護は話す。
「こういうことしたの初めてだから。できてよかった」
楽しい、ということがどういうことか、東護にはまだよくわからない。でもわからないなりにこうして過ごす時間は良いものだったらしい。
それが伝わったのか、質問をした相手は笑った。

その日の夜、雪が降った。真っ白な雪が。
雪が溶けて、季節が巡って、春になる頃にはどんな色が見られるのだろうか。
それはまた、別の機会に。

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テーマの著者 Anders Norén