ダブクロ卓「What am I to you」の過去編二次創作。
天城と伊吹の修学旅行の話の後日譚。
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ドタバタとした修学旅行が終わり、休日明けの登校日、伊吹が教室に着くとすでに登校していた天城に声をかけられる。
「おはよう」
「ああ、おはよう」
挨拶を交わしながら、伊吹は席に着く。
隣の席の天城は、伊吹が机の横にカバンをかけるのを待ってから、「これ」と言って白い封筒を手渡した。
「なんだこれ?ここで見ていいやつ?」
天城の首肯を確認し、伊吹は封筒を開く。中には数枚、修学旅行で撮った写真が入っていた。
「全部だと多いから、いい感じのやつピックアップしといた」
「ああ、サンキュ。でも、わざわざ印刷するなんて律儀だな。ラインかなんかで送ってくれてもいいのに」
「まあ、それでもいいんだが、形に残るってのは重要だろ。それに俺たちにはこういう帰るべき場所ってのが必要なんだよ」
天城の言葉に、伊吹はパチパチと瞬きをする。
伊吹にとって、オーヴァードの世界はまだわからないことが多い。だが、何か一つでも間違えば、自分や天城もこの場所に戻って来られなくなるかもしれないということはすでにわかっている。
「そうかもな」
写真を封筒に戻し、カバンにしまいながら伊吹は言う。
「失くすなよ。アルバムとか持ってるか?」
「持ってねえから失くすかもしれねえ」
「おいおい、大事にしろよ」
本気なんだか冗談なんだかよくわからない伊吹の言葉に、天城は苦笑いをする。
そんな話をしているうちに、始業時間になりチャイムが鳴る。
今日も彼らの”帰るべき日常”が始まるのだった。