全然卓の途中に先走って書いたお急ぎ便アリアドネのエンディング後の二次創作
伊織が生存してて、伊織と夕希がそれぞれ今のままの学校に通っている
夕希はまだ伊織への感情に気づいていないやつ
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「如月さんって、N高校の桜庭くんと付き合ってるの!?」
体育祭後の長期休暇が明け、久方ぶりの登校日。自分のクラスの戸を開けた夕希はいきなり質問を受けた。
相手は夕希にとって時々話す程度の学友の林だ。周りに興味深そうな目で見守る女子が二人、夕希は気づかなかったが、近くで聞き耳を立てているような様子の生徒も何人かいた。
「いや、別に。つ、付き合ってなんかいないけど……」
「本当に〜?でも隣のクラスの西やんが、二人が手を繋いで歩いてるの見たって言ってたよ!校門前で抱き合ってるのを見たって子もたくさんいるし」
「そ、それは……」
確かに手は繋いだ。繋いだがあれはそういう意味ではなくて。
夕希自身もわかっていないが、長い間一緒に育った家族としてというか、背中を預けあった相棒としてというか、なんかそういうものなんだろうと思う。
けれどUGNを知らない彼女らにそれを説明することは難しい。
それに抱き合ってはいない。断じて。
「……繋いでないし、抱き合ってない。ちょっと話してただけ」
結局目を逸らしながら誤魔化すという手段を取らざるを得なかった。
しかしそんな誤魔化し一つで見逃すような女子高生たちではない。
「ふ〜ん、付き合ってないならどういう関係なの?知り合いではあるんだよね?」
聞かれて、夕希はまたもや回答に困る。
UGNのことを抜きにしたら、自分と伊織の関係性を人に伝える言葉すら持っていないのだ。友達……だとちょっと軽すぎるし、親友……って言うのもちょっと違う。
「小さい頃からの友達?」
悩んで悩んでやっとのことで、とりあえずの回答を出した。
「へ〜!幼馴染なんだ!」
「ね、桜庭くんってさ、かっこいいからN高校でも人気あるみたい。N高校どころかこっちの学校にもファンいるよ」
ほらこれ、と言ってスマホに映して見せられたのは教室で幸馬と話している伊織の横顔の写真。
「体育祭前にN高校の子から回ってきてさ、みんな体育祭で生で見れるの楽しみにしてたんだよね」
「ふ〜ん、そう。それで?そろそろ席についてもいいかしら」
伊織が人気者なのはわかったがそれをわたしに言われても困る、と夕希は思った。それに、伊織がチヤホヤされているのはなんだか正直面白くない。特に深い理由はないが。
「え〜つれないな〜。と言いたいところだけど、そろそろチャイム鳴るしね。また今度、桜庭くんの話聞かせて」
彼女たちはそう言うと自分の席へと戻っていった。
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その後も彼女たちは時々伊織のことを聞きに来るんだけど、あっこれ夕希は伊織のこと好きだぞ??もしかして自分でも気づいていらっしゃらない????しかも伊織もたぶん夕希のこと好きだぞ??と気づいて応援するようになってほしい。←こっちが書きたかったんだけど辿り着けなかった